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あらゆる鳥のしらべ

埋めつくす本たち
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chocolate ・剣風帖

たまには、甘いモノが欲しくなる。

小さなキッチン、1つだけのガスレンジに、赤いホーロー引きの片手鍋を置く。
五徳の大きさギリギリの鍋は、支えていないと傾いてしまう。
ほんの少しの水と、砂糖と、ココアパウダーを振り入れて弱火にし、カレー用のスプーンでかき混ぜた。
端がプクプクと泡立つのを、スプーンで掻くように混ぜて、少し待ってまた同じことをする。
火はずっと弱いままだ。
スプーンが、ホーローの内壁を傷つけないよう、甘い香りのペーストを焦げ付かせないよう、ゆっくりと混ぜる。
鍋の底で、かき混ぜる中身が赤をはらんだ濃い色になって、つやつやとしだしたら、牛乳をそそぐ。

うつむいた顔を、湯気が撫でていく。

火を止め、うっすらと張った膜がうまく鍋に張りつくように加減して、傾け分厚いマグに注ぎ分ける。
それから、役目を終えた鍋は水に漬け、念のためにスプーンで1回ずつかき回して、マグを両手に持った。

キッチンの向こう、ワンルームには小さなコタツ。
ベッドにくっついて、余分の隙間なんか無い。
天板の中央にまずはマグを置き、コタツに足を突っ込んだ。
冷たかったろう足先にも、もう馴れたのか、爪先をぎゅっとされて思わず声をあげた。
実はくすぐったがりなのを知ってからというもの、そういうことをするのだ、龍麻は。
笑いながら、向かい側に滑らせるようにマグを押しやり、2人、両手でそっとそれぞれのぬくもりを包んだ。

「どうもありがとう」
「どういたしましテ」

「ソレにしても、龍麻の台所は小ちゃいねえ」
背中が曲がっちゃうネ、と言いながら、口をすぼめて湯気を吹く。
小さなコタツに、それは細長い体を押し込めて笑った、そのマグに、龍麻のマグがコツンと当たる。

「誕生日、おめでとう、アラン」




せまくて温かな場所で、一緒に過ごす君に挨拶。

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