廊下から戻ると、寝室は暗く見える。
先ほどよりもずっと慎重に、寝台に近づき膝で乗った。それから毛布をたぐり寄せようとして、少し眉を寄せる。
十分な余地はあるけれど、このまま入ったら寒くはないだろうか?
滅多に夜中に起きることがないので、自分では気にしたことがなかったけれど、出入りされると寒くはないだろうか。
毛布の端っこを持ったまま、ためらっていたのは、短い間だった。
「……何やってんの」
喉の奥がふわりと空いたような、不思議な色あいを帯びて、寝台の向こうから声がする。
大きく持ち上がった毛布が、くるくると身を包んで、その柔らかな熱がじわりと染みてくる。
「……冷えてる。寒い」
「ごめん」
「……だめ。おしおき」
器用にくぐってきた腕が、ぎゅっと絞るように体に巻き付くが、またすぐほどけて、もったりと温かな重しに変わる。
顎のあたりに頭のてっぺんが来ていて、いつもとは逆の形に、向こうがきゅっと小さくなったようだ。
冷たい方に抱きつくんだから、おしおきされてるのはどっちだろう、寒いのが嫌いな癖に。
つむじの辺りに鼻を押しつけて、匂いを嗅いだ。
さっきのような、冷たさにむずむずする気配はなくて、代わりに人の熱が伝わる。
橙色の光のように温かい。
おしおきと言っただけで気がすんだのか、それともやっぱり寝ぼけていたのか、向こうは、もうすうすうと寝息をたてている。
毛布の中はあったかい。
外は、ひんやりと寒いけれど、この温かさが待っているから大丈夫なんだな、と思いながら、寄せられたつむじに頬をくっつけた。