彼は、大きかった。
シオンにとり、仲間の大多数は見上げるように大きいが、この男はそれを遥かに凌駕している。
リベルダムの円形闘技場を前にすると、低いうねりのような声が高まっては静まる。
その繰り返しが潮騒のようで、シオンは縁石に腰をかけ、その音に耳を傾けていた時だった。
「うぬのソウル…無限の強さを…感じる。」
低い声は、長い間、耳の奥でびりりと震えていた。
見上げたその先で、太陽を背負った彼は、まるで塔のように暗く陰っていた。
立ち去った彼の名を、見送る誰彼が興奮してささやいたが、シオンには意味のないことだった。
ただ、ああこれが「聞く」と言うことなのだ、と、そっと両の耳たぶを手で覆った。
おわんおわんと鳴り続ける声が、闘技場の歓声と混じり合って、頭蓋をふるわせるようだった。
最速で闘技場を勝ち上がり、相対した新チャンピオンの小ささ、幼さに、満場の観客は、改めて目を疑ったが、1人、レーグだけは合点した。
[1回]
PR