フォークで、真っ白なクリームをすくった龍麻は、それまでと同じリズムで慌てず口に運んだ。
てっぺんの苺が、たよりなくころりと転がって、皿に落ちる。
こちらは指でつまんで、ぱくり。
「龍麻は…こだわらないってか」
「何を?」
聞いてなかったのかよ、と蓬莱寺が新しいシュークリームを取りながらぶうぶう言った。
「ケーキの苺は最初に食べるか、最後に食べるかだよ、龍麻くん!」
小蒔が、負けじとキャラメルプリンを取った。1人2つずつだからね!という声が弾んでいる。
「……気にしたこと無かった」
「それ、一人っ子だからだろ。俺なんか、うっかりしてると姉貴に食われるからな」
「あんたんとこもか。なんで姉ちゃんら、弟のモン取り上げるかなあ」
「ボクはそんなことしないけど」
「「ウチはするんだよ(やで)!」」
ふうん、と1個目のケーキをのんびり食べる龍麻の横で、こちらは二つ目に手をつけていた壬生が、フォークを置いた。
「あれ、紅葉、もう終わったの?」
「ごちそうさま」
そっけなく言った壬生に、如月が人の悪い笑みを浮かべた。
「壬生は、どっちだ?」
「苺を食べる順番ですか?」
「そうだな。大事なものは後で楽しむか、先に楽しむか」
卓にまっすく向かい、ピンと背を伸ばした壬生は、少し目を細めて考えるそぶりをした。
そうして、伸ばした手で、苺の消えたケーキに、まだ可愛らしく残っていたチョコの葉っぱをつまんだ。
あ、と空いた片割れの口に、そのチョコをポイと放り込む。
「あえて言うなら、食べさせる方ですね」
※自分の分はしっかり食べてる男。もちろん黄龍はだませない。※