ぶるりと身を震わせて、毛布をたぐった。
旅立ってまだ3日たったばかりだ。
地図を作りながら、ゆっくりとたどる旅程は気ままなものだ。
新しい地形を一つ一つなぞるのは、思った以上に難しく、そして楽しかった。
海岸線もきっと新しくなっているだろうと、昨日言われ、ならばそれを見ずにはいられないと2人で一致した。
そういえば、ずっと以前に話した夢の船のことを、ゼロスは覚えていた。
ロイド自身は決して忘れなかったけれど、ゼロスが覚えていたことに驚いた。
驚きつつ、何も口にしなかったのに、みるみるうちにゼロスの機嫌が斜めによじれた。
それにも驚いた。
落ち着き無くもう一度、毛布をたぐり寄せる。
たき火は燃え尽きかけているのか、少し焦げ臭い匂いがした。
薪をくべようか、それとも、と迷うロイドのうなじに、不意にあたたかな手が押し当てられた。
くにゃくにゃだ。
躯は、どこまでも力が入らずに、そのまま引きよせられる。
「……寒いだろ」
唇から耳へと染みてくる音。
鼻先を胸へ押しつけられて、口は言うまでもなく、だから声など出せようもない。
やすやすとロイドを捉えた手のひらは、ぴったりと2つの躯を合わせてしまう。
何と返事をしよう?
とまどうロイドのうなじを、規則正しい吐息が撫でている。
温かい。
肌と肌が溶け合い、とろとろと躯がゆるんでいく。
2人の躯がこうして同じ温もりになる時間が好きだ、とロイドは思う。
1人では、けしてこんな温かさにはならないのだから。
明日は、海へ行こう。
そうして、水平線を眺めながら、地図に新たな線を引こう。
そこに2人の夢の船の図面も引こう。
朝、まず最初にそう言おうと思いながら、ロイドは小さくあくびをした。
新たな旅は、まだ始まったばかりだ。