とにかく眠くてたまらない。
劉も、同じみたいだ。
ふらり、ふらりと一足ごとに頭が揺れている。
朝は、やってきた。
長い長い夜が明けて、また、朝がやってきた。
そう思うそばから、眠くてたまらない。
冬の空は突き抜けるように青い。
駅を行き交う人は多いけれど、どこか静かだ。
その人混みを縫うようにして、仲間は皆、少しずつ別れていく。
またすぐに会うけれど、とりあえずは帰って、そして寝よう。
そんなことを、あの塔を登りながら皆で話した。
眠い。
こんなにふらふらで、劉は、ちゃんと帰れるんだろうか。
駅を出て、公園のあの結界の中に帰さなければ。
ふらふら揺れる制服のしっぽをつまんで、行き先を逸れないように誘導してきた。
あとちょっと。
時々、眠気を覚ますように首をぷるぷるしてる。
ちょっと可愛い、と思ったけれど、まあ言わないことにしてる。
誰か、せかせか歩く人が、俺たちにまっすぐつっこんできた。
避けようとして、服の裾をつまんだ手が伸びきった。
ちょっと足がもつれた。
「哥哥、もうちょっとやでぇ」
制服の肩あたりが、クッとずれる。
劉の裾をつまんだ、自分の手首あたりに劉の手があった。
俺の、袖の端っこを、劉が握ってる。
「マンションまで、もうちょっとやさかい。寝たらあかんよ?」
……あれ?
わしのマンションへ行くがやった?
「眠そうやなあ、哥哥」
かあいいなあ、と聞こえたような気がしたけれど。
袖と裾と、お互いに今度はしっかり握りあって、改札を出た。
どっちへ行くかは、まだ決まってない。
※行き先=黄龍のマンションぽいですね※
andymori 「兄弟」から(Youtube です、音量注意)