そう思うそばから、少しふらついたように、くらりと視界が揺れた。
娘がいつも着ていたのは、こんな風に白の目立つ衣裳だったろうか?
もう少し地味ではなかったか。
きちんと結い上げていた髪が下りて、日焼けしたうなじを隠している。
こめかみにさした白い花は、ほんのりと赤い芯を抱えていた。
この花を選んだ時には、こんなにも愛らしい色とは気づいていなかった。
似合わないか、と問われて、否と返せるほどの頭はあった。
だが、それが精一杯でもあった。
思わず伸ばした手が、頬に触れてしまう寸前で、かしいだ花に添えた。
落ちそうだ、とつぶやいたような気がした。
娘は、いつものように目を伏せ、傾いでもいない花を直す間、じっと身を固くしていた。
つややかな濃い色の髪に、肌のように日焼けして薄くなった細い筋が混ざってきらきらと輝いている。
その、朝焼けに一刷け置いたスジ雲のような色と、紅を刷いたような白い花を見つめて、ふと気づけば、髪に指が絡んでいた。
初めて、顔を上げてくれた娘の、その温かな瞳は、すぐに薄いまぶたで隠されてしまった。
それを愛おしく、また、惜しいと思った。
※天使長、踏み外す※