何もかもが違う世界に来た。
たくさんの、見たこともない乗り物、高い建物がある。
人々は、今まで想像したこともないくらい、たくさんいる。
ここで町の名を言えば、地図を見て、それから、するりとそのことを忘れてしまう。
誰もが忙しそうで、誰もが欠片のように小さくなった世界。
神子が、世界を救うことも、知らないんじゃないだろうか?
そう言ったら、この世界の神子は、どんな顔をするだろうか。
顔も知らない人々、彼らの住む町が、どんな名前かもしらない。
世界は、いつのまにか手のひらはおろか、両腕からもこぼれ落ちるほど大きくなってしまった。
けれど、幼なじみも、故郷の人たちも、広がった世界の中で今も同じように大きく、きらきらとそこにいる。
何も変わらない。
世界は大きくなったけれど、何一つ変わっていない。
だからきっと、新しく知った世界に住む人たちだって、いつかきっと、この心の中に、顔も知らない、町の名も知らないままで大きくしっかりと在り続ける。
自分が知らなかっただけで。
だから、絶対に、この世界は在り続けなければならない。
そのための、この両腕が、どこまでも伸びていきますようにと祈ったら。
繁栄世界の神子は、じゃあオレ様がダメ押しで祈ってやるよ、と笑った。
すごく効きそうで、嬉しくて笑った。