忍者ブログ

あらゆる鳥のしらべ

埋めつくす本たち
MENU

ENTRY NAVI

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

我許来まさり ・剣風帖

向こうは、雨のようだ。

すっかり使う機会の減った家電話。その受話器から、途切れなく水音が流れ出ている。
湿気た空気を扇風機でかき回し、村雨は顎を天井に向けた。
首すじがぴしりと張って、ああ、若くねえな、俺も、とつぶやいた。

拍手[11回]

PR

予感 ・剣風帖

それは、皆が集まったいつかの時のことだったと思う。

彼らは頻々と顔をあわせていた。

繁華街で。
王子の骨董品店で。
真神の旧校舎で。

彼らは集まり、喋って、時に戦い、時に遊ぶ。

拍手[9回]

失せ物 ・剣風帖

帰る道すがら、人数の多い彼らは、数個のグループに分かれる。

「何、またやっちまったのか?」

車のエンジン音や雑踏を制して、蓬莱寺のぼそぼそ声は、よく通った。
相棒の隣にいる時、いつもそうするように、肩をきゅっとすくめた蓬莱寺が、緋勇に顔を近づけている。
緋勇の返事は、聞こえなかった。


拍手[8回]

水源 ・剣風帖


まだ、馴れていない。

寝息を、すぐかたわらに聞きながら横たわっていることに。
混ざりあう寸前の温もりを感じることに。

拍手[7回]

chocolate ・剣風帖

たまには、甘いモノが欲しくなる。

拍手[5回]

初霜 ・外法


日に日に寒気がつのる頃だが、天狗はそれをいとわない。
しんと冷えた朝、袷一枚で表をふらり歩く横を、綿入れに身を包み背をこごめた人々が通り過ぎていく。
「おお、さぶ」
すれ違った人足の悪態をなぞるように、天狗はつぶやいた。
低い瓦屋根を霜が縁取り、そこへ朝日があたってみるみる溶け、滴がほたりと落ちる。
かっと顔を照らすに目を細めて、後ろ頭を掻いた。
「さぁて。どないしよか」
馴染みの茶屋へ寄り、眠気の勝った敵娼の、とろりとぬくい布団にもぐりこむも良し。
女の機嫌を取りながら一服つけて、茶漬けの一杯もかすめよう。
「悪うないなあ」
次の角、小さな社を行き過ぎて決めようか、と思案して、口角を下げ笑う。
その隻眼が、ひょ、と見開いた。


拍手[3回]

× CLOSE

カレンダー

06 2026/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

アクセス解析

× CLOSE

Copyright © あらゆる鳥のしらべ : All rights reserved

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]